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10月20日、出雲空港で、大阪からの航空機が着陸に失敗し滑走路で火災が発災したとの想定で航空機消火救難訓練が実施されました。空港を管理、管轄する事務所をはじめ県内3つの消防本部、県警、県内3つのDMAT(松江日赤病院、島根大学医学部附属病院、島根県立中央病院)、島根県医師会、出雲医師会等を含めて16団体210名、救急車、消防車両等31台が参加する大規模な訓練でした。この訓練において、出雲空港の地元であり、私が所属する出雲医師会には、すぐに応援要請の一報が入ることとなっています。

訓練では、消火後に救急隊によって負傷者が救出されます。この負傷者役は一般のボランティアの方や空港職員の方が演じてくださいました。負傷の程度は島根大学医学部附属病院の山内健嗣先生により様々なシナリオが用意されていました。例えば、頭部外傷、骨盤骨折です。外傷性気胸により現場で胸腔ドレナージュが必要な場合もありました。複雑なケースとして事故によるショックで過換気発作となるも時間の経過とともに軽快したの方などもいらっしゃいました。また、外傷モデルキット(写真中央:負傷者役の大腿部の出血)が患部に付けられていて、創傷部位がわかりやすく工夫されていました。

■災害現場では上下の命令系統・横との連携が重要

救難活動において医師の役割は3つあります一つは現場指揮本部において救急隊本部と共同して指揮する役割。二つ目は負傷者のトリアージをする役割。三つ目は現場での応急処置です。

医療関係者ではない読者のために「トリアージ」をご説明しますと、通常の医療や事故では、医療機関内には傷病者の数よりも医療従事者の数が多いので、一人一人に十分に医療を行うことができます。ところが大規模な事故や災害が生じると、傷病者数が医療従事者数を上回ります。このような状況になると、治療の優先順位をつけなければなりません。この順番は色分けされており、最優先治療群(重症者)は赤色、待機的治療群(中等症群)は黄色、軽傷群は緑色、死亡された方は黒色に分けられます。これがトリアージです。 
赤色の方から順次救急搬送されますが、救急車を待つ間にトリアージされた方の応急処置も必要となります。 

このように、災害現場では医師は直ちに、救急隊、看護師、事務担当者などと医療チームを結成し、指揮、トリアージ、応急処置に分かれて連携する必要があります。しかも大災害の場合はいろいろな医師会や病院からの医療支援チームが応援に駆け付けますので、役割が重ならないようにしなければなりません。

普段、診療所医師はそれぞれ個別の医療機関に勤務しており、他医療機関の方と訓練をする機会はめったにありません。しかし災害現場では、上下の命令系統、横との連携に注意を払わないとスキルを発揮できないことがあるということを今回の訓練で学ぶことができ、非常に重要な機会でした。