私には母校といえる医学部が3つあります。
 一つ目は、学生時代の島根医科大学(現島根大学医学部)。二つ目は、研修医時代の大阪医科大学。三つ目は、現在大学院生として所属している奈良県立医科大学。
すべての大学が私のキャリア形成でとても重要です。

 去る10月15日に母校の島根大学医学部の学園祭(くえびこ祭)の特別講演の講師として、国境なき医師団日本副会長である加藤寛幸先生がみえたので拝聴してきました。加藤先生は私より一つ後輩になります。最も援助の届かない国にいる、命の危機に直面している人々のために職業を通じて国際奉仕を実践していらっしゃる様子に感動しました。
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 さて、今回は昨年10月に総務省が公募した「絆プロジェクト」(正式名称:地域雇用創造ICT絆プロジェクト)における出雲医師会の経験を紹介します。

 「絆プロジェクト」に対して当地区は医薬連携と感染症症候群サーベイランスに関するプロジェクトで採択されました。大急ぎでしたが、今年3月で開発と実装を終え、今後4年間の運用を開始し半年がたちました。

 実施主体は出雲医師会のIT関連のメンバーから構成される「NPO法人全国地域感染症早期探知システム普及協会」で、私はプロジェクトリーダーを任されました。このNPO法人は、国立感染症情報センター(以下、感染研)の大日康史先生のご指導により出雲地域で独自に発展してきた感染症症候群サーベイランスを全国的に普及させることと、住民向けの感染症情報の発信を行うために昨年設立されたものです。

 ここで、馴染みがない方もいらっしゃると思いますので、感染症症候群サーベイランスについてご説明します。

 内科や小児科の診療に携わる先生方でしたら、感染症定点の医療機関から報告されたものを各県の感染症情報センターが取りまとめて発表する発生動向調査をHPでご覧になる方は多いかと存じます。地域の流行状況、例年との比較がグラフで表示されており、地域の感染症対策にはとても重要な情報です。例として島根県のHPを示します。
http://www1.pref.shimane.lg.jp/contents/kansen/

 でも、感染症定点での診断から公表まで最短でも10日かかるため、タイムラグが気になることがあります。特にインフルエンザなど「足の速い」流行性疾患の場合はなおさらです。また SARSの流行当初のように病名が分からない時もこの調査ではとらえきれない疾患があると思います。

 人々の往来が地球規模で活発な現代では、常に新しい感染症にいち早く対応しなければならない状況が増しています。そこで確定診断にかかわらず、いち早く感染症流行の兆しをキャッチするシステムが、国立感染症研究所の大日康史先生を中心に開発されています。医療機関内外や患者の症状の有無を問わず、地域の住民の方の健康情報を主としてインターネットを用いて収集する仕組みです。

 この感染症症候群サーベイランスでは、発熱嘔気下痢発疹といった症状を訴える患者数の増減をみたり、あるいは 学校欠席者を症状別に調査したりします。患者情報が得られるものであれば、施設は限定しません。できる限り情報源のデータを二次利用して、なるべく自動的に運用されることが理想的です。