今シーズンのインフルエンザの流行は例年と比べて以下の特徴が際立ちます。
1. 12月初めから本格的に流行した。
2. A型B型ともに当初より流行した。
 
 例年ですと、1月になってA型の流行が開始し、6週間程度流行した後にB型が遅れて流行し、やがて終息するのですが、今シーズンはこのパターンと大きく異なります。


■島根県の感染症リアルタイムサーベイランス

 
 国の法律に基づく感染症発生動向調査の島根県の正式報告(http://www1.pref.shimane.lg.jp/contents/kansen/rep/new/weekly.html)によると、本ブログ作成時点(2月10日)は、患者数の増加は衰えているものの、ピーク後の折り返しは認められません。しかし、実臨床では患者さんの数は少し減ってきたような印象です。
 
 島根県では、県内全域の医療ネットサービスの一環として「リアルタイム感染症サーベイランス」を実施しています。
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 これによると、数日前にピークを迎え、A型、B型、臨床診断、総数とも減少しています。
 
 連休明けは混むかもしれませんが、ピークオフが分かれば、インフルエンザの患者さんを担当する外来の医療機関の緊張が緩和してくるでしょう。また、患者さんの増加と同じペースで日々の患者さんの数は減少していきますので、3月第2週ごろには終息するのが読めてきます。リアルタイム感染症サーベイランスを見て、多忙さから解放されるめどが立ち安堵しました。学校医としては、卒業式のころの学校スケジュールにインフルエンザの影響は少ないことが予想でき、安心しています。

 リアルタイム感染症サーベイランスは、感染症発生動向調査が各医療機関の報告から正式発表まで1週間かかるギャップを埋めるためのシステムです。これは島根県の各医療機関が毎日データを「まめねっと」(しまね医療情報ネットワーク)上に登録することで、自動的に速報値が集計されています。

 登録方法は2つあります。
1. リアルタイム入力
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 ネットワーク上で患者別に、感染症診断、年齢、性別をクリックします。

2. 疾患名・年齢・性別の一覧データをシステムにアップする方法
この方法は主に大病院で行われている電子カルテのデータを自動生成し、システムにアップする方法です。
 
 これらのシステムにより、日々の患者数を県内全域の医療機関に報告できるのです。麻疹・風疹患者が発生した時も警告として表示されます。


■当院のインフルエンザ迅速検査精度向上対策

 
 インフルエンザの迅速診断は、綿棒等(写真1、右)で採取した鼻汁中のインフルエンザ抗原の定性反応を用いて行います。

 採取した鼻汁はプラスチックスピッツ(写真1、中)内で反応液と混ぜます。次にプラスチックの試験スティック(写真1、左)に、鼻汁と反応液の混合液を3滴滴下します。試験スティックにあらかじめ塗布インフルエンザ抗体と反応が認められた場合、早い場合は反応後直ちに、遅くとも15分でカラーラインとして表現され、A型、B型と診断されます。診察室では医師、看護師、臨床検査技師がタイマーを片手に、患者さんが多い時は5人分をまとめてチェックしています。
 
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写真1 
  
 タイマーで管理し目視で判定するのは、患者さんが多い中で手間暇がかかります。そのうえ、目視では本当に陽性として発色しているのか、あるいは抗体がキットに埋め込まれている溝が見えているのか判然としないことがあります。
 
 そこで当院では、自動判定装置(写真2)を今シーズンから導入しました。試験スティックに混合液を滴下するまでは同一手順ですが、後は、試験スティックを機械に入れると定時読み込みし、陽性の場合すぐにプリントアウトされます。名前と結果と時刻が履歴管理されますので、「リアルタイム感染症サーベイランス」の入力の際とても便利です。



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写真2