無題


 島根県では全県下医療ITネットワーク「まめネット」が稼働しています。そのサービスの1つである医療と介護施設で運用する「在宅情報共有システム」が本年4月から本格稼働しています。

 これまでの在宅医療の場合、患者さんごとに医療施設、介護施設が異なる職員が多職種連携を行っていますが、これだと情報の同時共有ができません。しかし、まめネットの在宅情報共有システムを使うと大切な情報をセキュリティレベルの高いシステムで共有できます。

 当院では本年4月から管理栄養士による在宅訪問栄養指導をしており、現在2名の常勤管理栄養士が日々患者さんのお宅で活躍しています。患者さんの現在の食事内容や噛む力、飲み込む力(摂食嚥下機能)を確認して、現在の病態にあった食事の献立、食べ方を家族に伝えたり、実際に台所で作り、それをまめネットで関係者に報告しています。食事を摂るには口腔内も健康も大切ですので、しっかりチェックし、体調全般についても報告します。

 彼女たちの働きぶりは素晴らしいです。実際に、手術ができない腹部腫瘍があり、抗癌剤治療をしない段階になって退院したある患者さんは、お家に帰って元気を取り戻した様子が窺えます。その活躍を実際に彼女たちのレポートとしてお見せします(個人情報を配慮して若干編集しています)。生きる力を取り戻す患者さんを全力でサポートするのが在宅チームの仕事だと思います。

 2つ目のケースのように「左足首のしびれ」といった訴えを患者さんが管理栄養士に相談された場合など、在宅情報共有システムを使えば担当時間内で患者さんの様子で気づいたことをチーム内の医師、看護師といった専門職につなげることができます。治療に結びつくかもしれない、ちょっとした患者さんの訴えが専門職に情報として届けられます

ケース1
腹部悪性腫瘍、脳転移
情報共有施設:病院、訪問看護ステーション、当院
無題

Aさん訪問報告
すぎうら医院管理栄養士:B(2016/11/10 11:24)

 本日訪問しました。
 眼を閉じておられましたが、訪問時はしっかりとお話しできました。今朝はごはん、しじみ汁、ホウレン草と卵のソテー、キャベツと竹輪の酢の物を召し上がったそうです。味噌汁でも特にしじみ汁がお好きとお話しされました。まずは自宅で好きなものを召し上がるのが第一と思います。食事量は少ないのでたんぱく質量は多くありませんが、エネルギー不足にならないような支援が必要です。

 御主人は食事作りが苦ではありませんので、「カリウムの多い食材は少し控え気味の方が良いかもしれません」と伝えています。残歯は数本で奥歯はないものの食事形態は刻むこともなく歯茎で食べられるようです。「やっぱり家のごはんがおいしいわ」とお話しされました。

 口腔内のケアはされていませんでしたので、ジェルを購入していただき日々のケアをご主人に説明しました


ケース2
腹部悪性腫瘍 腹膜転移
情報共有施設:ケアマネージャー、薬局、当院
無題2

Cさん訪問報告 
すぎうら医院:管理栄養士D(2016/11/10 13:24)

 2016/11/10 10:00 訪問
 本日、ご本人、お嫁さんと食事、口腔ケアについて話をしました。
 食事量は推定960Kcal前後、たんぱく質30~35gであるので、病態を考慮すると計算上ではエネルギー1537Kcal、たんぱく質57g程度摂れると良いと思います。今後味覚の変化や食欲が低下する可能性も伝え、ビタミン、微量元素の必要性も説明しました。

 上記をカバーする目的で、栄養補助食品をいくつか紹介し、ポチプラスV(野菜ジュースのような形態で、味覚異常を防ぐ亜鉛も多い)をご本人、お嫁さんにも試飲してもらいました。「野菜ジュースは普段から飲む習慣がないけど美味しいね」と言っておられました。

 口腔ケアについては、退院後から洗口液でゆすぐだけとのことでした。口腔内細菌を減少させ、誤嚥性肺炎を防ぎ抵抗力をつけるためにも歯磨きの必要性を話しました。お嫁さんから「ベッド上でケア出来るように水、受けも用意してあるのでできます」とのことでしたので、今日からお願いしました。舌苔はありませんが、糸状乳頭なく表面はツルツルでした。