私たちのクリニックでは、常勤専任医師による在宅診療部を2013年4月から開始しました。専任医師による在宅診療部を設置した理由は、午前中の診療時間内に在宅の患者さんの状態が変化した時にすぐに対応できないのを解決したかったことと、通院中の患者さんが悪性腫瘍や脳血管障害などで通院できなくなった時、こちらから訪問して最後まで医療を完結させたかったからです。

 
 この2年間で、約250名の方を在宅で診療させていただきました。このうち、約100名程度の方のお看取りをしました。約100名の方は現在も訪問しています。残りの約50名の方は転院されたり、元気になって通院できるようになった方です。

 この5月から思い切って、午後の外来は月曜日のみとし、午後の在宅診療に使える時間を増やし、より在宅診療に対応しやすいように変更しました。外来枠を減らすことで、経営的にどのような影響があるかやや不安もありますが、夕方に多い退院時カンファレンスに対応するためにはやむをえないことと思います。また、外来枠を減らすことにより来院できなくなった患者さんについては、電子カルテを患者さんの同意を経て共有することで、他の医療機関で引き続き診療していただけるようにしました。


 
 
 ■開業予定の勤務医が当院で研修するメリット


 
 
 現在の在宅診療の専任常勤医は3名です。このほか、非常勤医1名、外来と在宅診療兼任(私)の1名の計5名で実施しています。大変優秀なメンバーに恵まれ楽しく仕事をしています。以前在籍していた先生は、1年間、在宅診療と外来業務を行った後、つい先日開業されました。現在は夜間休日の連携体制を共にとっています。

 最近の新規開業事情として、地域包括ケアに対応するため、在宅診療の技術習得と夜間休日の体制づくりが必要です。

 在宅診療の技術は、通常の内科の先生であれば難しいものではありません。しかし、患者さんとご家族、薬剤師さん、訪問看護師さんといった外部の医療スタッフの方々、ケアマネージャーさんを含めた介護の専門家との円滑なコミュニケーション技術や、会議の持ち方が非常に大切です。これを学ばれて開業されると随分スムーズに在宅診療ができます。

 在宅診療をはじめて数カ月以内であれば、あまり患者さんも多くないので24時間365日の体制をとることができますが、やがて患者さんの数が多くなると、リフレッシュや家族のためにもオフタイムが必要です。このため、信頼がおける医師との24時間365日体制のタイムシェアが必要になります。

 現在、開業を希望される2名の医師より、在宅診療の研修のため当院で診療を共にしたいという申し出をいただいています。私たちも開業直前の、最も元気がいい先生と仕事ができることは、クリニックのスキルアップにつながりますので大変ありがたいことです。また、今回の先生のように、当院で研修後に当地でご開業された場合、連携がしやすくなるメリットも私たちは感じています。