当院は強化型在宅支援診療所として、私、美川医師、中山医師の3人の常勤医と、須佐医師、もう一人の医師の2名の非常勤医師、合計5名で在宅医療を担っています。
 今回は、ともに在宅医療を行う5人の仲間をご紹介します。
 
 
■大学管弦楽団の仲間たちと在宅医療
 

 美川医師は私より年齢が約10歳年下ですが、両親が知り合いで、ともに出雲高校、島根医大、そして大学の管弦楽団の出身です。美川医師は大学在学中から卒業後は出雲で診療する希望を持たれ、進路について私にご相談にみえた際に、「将来一緒に診療しましょう」と話したことがありました。
 
 その後、淀川キリスト教病院で研鑽を積まれたのち呼吸器内科専門医を取得され、終末期の癌患者さんを多数担当された経験を通して、癌末期を自宅で過ごすために在宅医療を行いたいと考えるようになり、2013年4月の当院の在宅診療部立ち上げ時から、専任の在宅診療医として診療をしていただいています。
 
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朝の往診前カンファレンス。着席しているのが美川医師
 
 
患者さんとご家族に丁寧に接し、かつ在宅で可能な医療はすべて取り組む積極的な姿勢は共に働く者として大変共感します。そのおかげで徐々に患者数も増え、2チームによる往診体制が必要になってきました。
 
 
 今年1月から参加しているもう一人の医師も大学管弦楽団の仲間です。麻酔科医である彼は、都会でのスキルアップと出雲での家族の生活を両立させたいとの希望があり、2週のうち1週間は東京で麻酔科医として働き、残りの1週間は出雲でご家族と暮らしながら当院で在宅医療に従事しています。
 麻酔科専門医の参加で在宅医療のレベルが上がりました。特に人工呼吸器を使用している患者さんのアセスメントには感心します。疼痛対策として神経節ブロックの実施はありがたいです。緊急医薬品の準備は当然ながら最新です。
 

■神社の跡取り、10年ぶりの現場復帰…医師たちの将来設計

 
 在宅診療を始めてから1年が経過したころ、須佐医師から開業の相談を受けました。彼は、八岐大蛇(やまたのおろち)を退治した英雄神「須佐之男命(すさのおのみこと)」の御魂を全国で唯一祭ることで有名な「須佐神社」の跡取りです。開業後は、地元の医療ニーズに応えつつ、神社の大切な行事は必ず執り行わなければならないため、他施設の医師との協力が必須です。
 そこで開業までの準備期間に週3日、当院で外来と在宅医療を担っていただき、ノウハウを得ていただくことになりました。奥様は神経内科医でともに開業されますので、ALSなどの神経疾患を在宅で診ていただくことを私どもは望んでいます。
 

 中山医師は結婚、出産を機にいったん臨床を離れ、ご主人とともに米国へ渡り、ジョンズ・ホプキンス大学で有給研究者として癌遺伝子の基礎研究に従事され、帰国後も島根大で研究を続けられた癌遺伝子研究のエキスパートです。しかし、ご両親が運営されている特別養護老人ホームで診療する方向性が明確になったため、臨床の現場に戻る決断をされました。
 そして高齢者医療を学べる施設を探されていて、5月から共に働く仲間となりました。女性医師の細やかな視点は、さまざまな配慮が必要な在宅医療に大変向いており、10年以上のブランクを感じさせずに、とても熱心に診療されています。


 このように、当院の仲間たちは、様々な人生経験を経て、それぞれの将来を考えて自然と集まりました。患者さんのためにまじめに診療に取り組むという点で意気投合しており、私は彼らのことを大変信頼しています。
 
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須佐神社の大杉の前にて 左から中山医師、杉浦、須佐医師