先日、島根県庁の方が当院の在宅医療に同行され、いくつか質問を受けました。
 私は2013年4月からチームを組んで在宅医療を始めましたが、その状況についてご関心がある読者もいらっしゃると思いますので、複数回に分けて、当院の在宅医療についてご紹介したいと思います。
 

■共通電子カルテを使用し、近隣クリニックとも連携
 

 当院は強化型在宅支援診療所として常勤医3名、非常勤医2名で在宅医療を担っています。
私は外来と在宅を兼任しており、ほかの4名が在宅医療専任です(なお、医師である私の父と妻は当院の外来専任)。さらに、24時間356時間体制で質の高いレベルを維持して患者さんの急変に対応するため、近隣の現在1つの診療所とも連携して、合計8人の医師で在宅医療連携体制を整備しています。間もなく連携医療機関がもう一か所増える予定です。
 私夫婦はともに医師で、当院で診療していますので、家族旅行など家庭の行事を考えると他施設との連携が必須です。

 近隣の診療所との連携を可能にしているのは、当院を含めて3医療機関が同一会社(松江市テクノプロジェクト社)ASP対応型電子カルテを使用しているためです。これにより、同意を得た患者さんのカルテの相互閲覧、相互書き込みを行っています。


写真:在宅医療に使用している電子カルテ
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 また、地域医療再生基金による「まめネット」により、島根県立中央病院、島根大附属病院など病院での患者情報も参照できます。在宅で症状が悪化して入院された患者さんの様子を把握し、在宅復帰の準備を進めるために大変便利です。
 

■チーム医療を支える看護師と事務員
 

 在宅医療を医師だけで行うことは法的に可能ですが、当院では、医師+看護師+事務員のユニットで訪問しています。これは、役割分担を徹底して、質の高い在宅医療を効果的に行うためと、なるべく多くのスタッフで患者さんの様子を観察し共有するためです。在宅医療ではさまざまな文章を作成し、さらには保険証の確認や診察代金の徴収もしないといけませんので、事務員の同行は大変助かります。
 看護師の業務は問診、血圧、体温といったバイタルサインのチェック、電子カルテへの記載、処置、採血点滴の実施です。
 重症や急変時には医師を1名追加して2名で診療します。マネージメント役と処置及び検査担当に分かれます。

 チーム医療による在宅医療を支えているのが、医院内にいる事務員と看護師です。医院では、患者宅で使用している電子カルテをリアルタイムで監視し、患者宅から発行した処方せんを遠隔操作で医院のプリンターから出力し、これを、患者さんが選ばれた薬局にファックスして調剤準備に役立てていただいています。モバイルプリンターで患者さん宅で処方箋を発行し手渡す場合もあります。将来構想としては、調剤薬局の薬剤師にも同行してもらい、家庭での薬剤管理を徹底したいと考えています。
 

■震災の医療救護班がチームの原型
 

 こうした在宅医療チームの原型は、私が参加した東日本大震災の時の医療救護班です。
 医療施設外で医療を行うという点では、在宅医療も被災地の救護施設での医療もよく似ています。たとえば検査機器などはともにポータブル式のものを用いています。

 次回は、この在宅医療チームに多くの先生方にご参加していただいた経緯についてご紹介します。