この写真は1月22日に撮影したものです。

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 厚生労働省の実証事業「処方せんの電子化実証事業」において、デモ患者「出雲太郎」さんの処方箋を島根県出雲市にある当院から大分県別府市の薬局さんへ転送している時の物です。
 
 私たちの生活はコンピューターによる産業全体の情報化により大変スピーディーで便利になりました。当初は企業内の効率化、迅速化のために導入されたシステムも、ATM・CDの金融機関提携や、鉄道の相互乗り入れなど会社を越えて情報が流通することにより、利用者も利便性を実感できます。私たちは日々、様々な情報システムに接しながら生活しています。

 医療分野では、1999年に医療機関のITシステムである電子カルテが法的に整備、導入されてから15年がたちました。これにより医療機関内で「ペーパーレス化」と「情報共有」が可能となりました。昨年の春の調査では病院での推定導入率は28.7%となっています。(シードプランニング社調べ)。

 医療は、他の医療機関へ患者さんを紹介したり、院外にある調剤薬局へ処方箋発行するなど、他の機関と連携する機会が他の産業よりも多い分野です。今後の高齢化社会の進行に伴い、患者情報を介護・福祉分野の方々と連携する機会がますます増えるでしょう。できればコンピューターネットワークを用いた迅速で正確な情報共有が求められます。

 今回のブログでご案内している実証実験では、通常、紙で運用されている処方箋の電子化、すなわちペーパーレス化と情報共有を同時に行えるかどうかが確かめられました

■生涯の受診歴を一括管理できる

 紙媒体での処方箋発行から薬を受け取るまでの手順は以下の通りです。
 患者さんが医療機関で診察・検査を受けられた後、医師の印鑑が押してある処方箋が発行されます。患者さんはその処方箋を持って任意の薬局へ行きます。病院によってはfaxサービスコーナーがあります。ここで行きたい薬局を指定して処方箋をfaxしてもらっておくと、前もって準備してもらうことも可能です。患者さんが処方箋を持って薬局に見えたら、薬剤師は病状と処方内容に問題点がないかを患者さんに確認して、処方箋と引き換えに薬を調剤し手渡しします。
 
 今回の実証実験では紙の代わりに、患者さんに発行したICカードを用いて、情報として処方箋を発行します。あわせて医療機関から患者さんの病名、アレルギー情報、検査結果なども薬局へ通知します。

 昨年度は別府市の医療機関と薬局間で処方箋の電子化システムの運用性が確認されました。今年は国内の遠く離れた場所からでも処方箋が送付できるかの確認試験です。患者さんは医療機関から処方箋を発行されたら医療機関に近い薬局で薬をもらうことが多いのですが、地方の患者さんは都会の病院で診察・検査を受けて処方箋をもらい、薬は地元の薬局で受け取る場合がよくあります。今回はその場合を想定した実験でした。

 結果は、地域をまたいでも処方箋の電子化運用が可能であることが確認できました

 日本では、産婦人科で産まれてから、感染症にかかりやすい子供の頃は小児科にたびたび通院し、予防接種を受け、成人し、やがて老いるまで沢山の医療機関を利用します。この個人の医療機関利用歴、薬局での調剤歴や健診・人間ドック等の結果を一括して管理して、本人もしくは第三者の医療機関で情報閲覧が可能な状態にしてあれば、個人の健康管理に大変便利でしょう。このための医療情報の共有化や蓄積の取り組みが、今回ご紹介したように各地域でなされています。