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今年1月から島根県全県で医療ネットワーク「まめネット」が運用開始となりました。
これまでも中核病院と関連する病院や診療所間を結ぶ医療情報ネットワークは全国ではありますが、県全体での運用を目指す方式は珍しいものです。各病院では様々なコンピューターが導入されているので、ただつなぐというだけではデータの交換ができません。島根県では情報共有のために参加するすべての医療機関のデータを標準化しました。 これにより、県下の医療機関であればインターネットを用いて同じ様式のデータを用いて患者情報を相互に連携可能となりました。2013年度中に県内の中核病院から医療データが提供されるようになります。
写真は島根県立中央病院のロビーに設置されている、患者さんの「まめネット」参加受付コーナーです。

■アナログ方式が多い医療現場

一般のビジネスシーンの情報伝達手段はメールが主体です。郵便が使われることはずいぶんと減りました。個人情報を気にしなくてもよい場合、文字情報の受け渡しがとても簡単だからです。しかし、医療関係以外の方は驚かれるかもしれませんが、今でも日本の医療現場では、他の医療機関に情報を伝える場合に、手書きやワープロ打ちしたものをプリントアウトし、郵送や持参で届けるというアナログな方式が用いられています

病院やクリニック内では診療用コンピュータ (電子カルテ)を用いていますが、いろいろなメーカーがあります。異なるメーカー製電子カルテを導入する医療機関同士では、情報の受け渡しができません。しかも、個人情報が厳格に保護されなければなりません。この課題を乗り越えるために相互利用できる仕掛けが必要です。それが今回、島根県が用いた厚生労働省電子的診療情報交換推進事業(SS-MIX)方式です。

例えば、A病院の電子カルテの内容をSS-MIXで変換します。 この情報を伝えるのは、もちろんインターネットです。VPNという仕掛けを使って暗号化して個人情報を守ります。SS-MIX方式の情報を受け取ったB病院やC病院では、それぞれのシステムで患者さんの情報を閲覧することが可能となります。これまでも中核的な大病院が、関連病院や診療所を対象としてSS-MIXを用いた地域医療連携は実施されていましたが、今回島根県では、全県下で利用できる仕組みを作りました。こうして 「まめネット」は出来上がったのです。

■紹介先での治療がリアルタイムに分かる!
 
現在、私のクリニックでは14名の患者さんの医療データが交換できるようになりました。これにより、県内の病院に紹介した患者さんが先方でどのような治療していただいているかが分かるようになりました。2月には私のクリニックのデータも提供できるようになります。私は開発に携わっていましたので、実験段階で架空の患者さんのデータがどのように画面表示されるかは見ていました。しかし、実際に紹介した患者さんが先方の病院で治療していただき、回復される様子を自分のクリニッでリアルタイムに観察した時は、とても感動しました

この経験で、これまで医療機関という個別のハードに収まっていた情報が、もう一つの大きな入れ物である「患者さんの住む地域」の中で運用される様を実感しました。これはちょうど10年前、紙で運用していたカルテを電子的にオンラインで運用した時に、紙の時には1人でしか内容をみることができなかった医療情報を、スタッフ全員がそれぞれ別の端末によって同時に共有できるようになった時に感じたことが、ずっとスケールアップした感じです。
2013年度中に準備が整った医療機関から順次データが提供されますので、まめネットの発展と患者さんへの寄与が今からとても楽しみです。