聡明な先生方のご講演を拝聴すると感動することがあります。多くの知識をお持ちの上に、その中から瞬時に適切な概念を頭の中のテーブルに並べて、その場にふさわしく整理し、順序よくお話しされ、そうした先生方は文章もとても分かりやすいです。
 

いかんせん、きわめて凡庸な脳を持つ私は、沢山のコンテンツを扱う場合、これらを頭の中だけでは再構築しきれず大変困っています。そんな時に私が実践している、現代の大量情報時代に対するアナログな技「マインドマップ」をご紹介します。


image1写真は私が最近論文を書いた時に作成したマインドマップです。皆様の中にはすでに何年も前から書いていらっしゃる方もいるかもしれません。私は約2年前から書いています。
 

中央に雲のような枠が描かれ、そこにメインテーマのスケッチが書かれています。その雲から色とりどりの枝が放射線状に延び、枝は根元が太く先細りで、上下に弧を描きうねっています。枝の上には、重ならないようにキーワードが単語で書かれています。そして、それぞれの枝は次の枝につながります。 
 

出来上がったものは、メインテーマから枝とキーワードが四方八方に伸びています。見方によっては大脳からシナプスが方々に延びているようです。

これが「マインドマップ」という手法です。

「マインド」という言葉から、何らかの宗教と関連する印象を持つ方もいますが、特定の宗教とは全く関係なく、頭の中にあるイメージを単語と絵で表現する手法のことをマインドマップと呼んでいます。


ヒアリングに用いると問題点がよく見える

頭の中から湧いてくる単語を一定のルールの下で紐付けして並べて書いてみると、頭の中にある全体のイメージが、モリモリ膨らんできます。例えば、「今日の空は澄み切って青い」というフレーズを考えるとき、コンピューターでコピーペーストすると、一秒もかからず「今日の空は澄み切って青い」という単語を書き写すことができますが、これでは何のイメージも喚起されません。最近自分自身の想像力低下を実感するのですが、コピペを利用したワープロによる文章作成がその原因ではないかと感じることがあります。

それでは、マインドマップを使って考えてみます。今日__空__澄む__青いと単語で区切り、一つずつの単語について、いろいろイメージします。「今日」に対して「昨日は?」「昨年の今日は?」、「明日」や「空」に対して「海」「宇宙に続く」「空っぽ」… など、どんどんイメージを書き込むと、言葉が沢山湧いて出てきます。書き進めていくうちに、図中に同じキーワードがたくさん出でくる場合は、そのキーワードは無意識のうちに重要であることが強調されています。逆に、枝や単語が相対的に少ない部分は検討が不十分な場合が多いので、情報を得て埋めると全体のバランスが良くなります。

そうして出来上がったマインドマップをみると、「今日の空は澄み切って青い」を最初とは違うイメージで感じることができます。

このような方法で書いたマインドマップは、論文の全体構成、タイトル、イントロダクション、ディスカッションのアイデアを膨らませる時にとても有用です。その他にも、新しい事業に挑戦する時の配置図の作成、議事録、講演会、勉強会の時のメモ、To Do List、患者さんやご家族、ケアマネさんや学校医、産業医の顧問先等でのヒアリングの時に用います。特にヒアリング時にマインドマップを用いると、問題点や追加質問すべきところがよく見えてきます。

マインドマップで書いたメモは、板書のような手書きの文章やワープロの文章と比べて、後日見直した時に思い出しやすいのも特徴です。単語や枝が視覚的に脳に受け入れられやすいからだと思います。

PCで動くマインドマップ用のソフトウェアもあります。概念や、サブテーマが多いときに一枚のマインドマップ図だけでプレゼンテーションをしたことがありますが、「珍しいプレゼンだけど、分かりやすい」とご評価いただきました。ただし、公的な場では、プレゼンはマインドマップ一枚で行っても、配布資料は通常の書類を持ち帰り用としてお渡しした方が良いと思います。