出雲の開業医「生活密着医療がモットーです」

  • ブログの紹介
     地域医療 = 生活密着医療と考え、「地域の方々の生活に貢献できる医療の進化を推進する」がモットーの開業医が、診療、研究、IT事業に奮闘する日々を出雲の地から綴ります。
  • 著者プロフィール
    杉浦弘明(すぎうら ひろあき) 1965年生まれ。1991年島根医大卒。島根県出雲市に「すぎうら医院」を設立して15年目の開業医。日常診療の傍ら、研究・IT事業など多方面で活躍中、後世に残る英語論文にも挑戦している。

2012年05月

週末の自然観察

毎年半袖の季節になると、二人の息子を連れて地元で川魚捕りをします。今月出雲市では五月晴れの日が続き、河川の水温が上昇して川魚の動きが活発になってきました。そこで先週末、今年初めて子供たちと川魚捕りに出掛け、ドジョウやタナゴを網でたくさん捕りました。

写真は長男が網ですくったドジョウを次男が覗き込んでいるところです。
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自宅に水槽を置いたきっかけは友人の会社のイベントで参加した金魚すくいでしたが、その後、いろいろな川の生き物が我が家にやってくるようになりました。最初は小川のザリガニです。狙ったものが捕れ、水槽で飼うことが楽しくなりました。

近所の田んぼの排水路に生息するトジョウメダカタモロコも捕りました。そして島根を流れる一級河川の斐伊川(ひいかわ)の取水口のタナゴ、山間地の小学校近くの用水路のハヤ、斐伊川を上流に遡ってウグイ、宍道湖(しんじこ)のテナガエビ、島根半島に広がる北山の湧き水の注ぎ口にいるオイカワと、だんだん活動範囲が広がりました。清流に生息するヨシノボリにも会えたらいいなと思っていますが、これは相当難易度が高そうです。
 
長男は自分で捕まえた川魚を持ち帰り、観察したり本で調べたり、時には魚にとても詳しい近所の「魚博士」に教えていただくという、とても良い経験をしています。
 
今年は出雲神話・古事記編纂から1300年

一方の次男は体験派です。斐伊川一帯は出雲神話・古事記の舞台で、今年は古事記編纂から1300年にちなみ、当地で7月から「神話博しまね」(http://www.shinwahaku.jp/)が開催されます。島根県の西部は特に神楽が盛んで、多くの子供たちが神楽団に入り神楽に親しんでいます。次男は神楽を見てからというもの、その魅力にあっという間に惹かれ、最近までウルトラマンの真似をしていたのが今では「大蛇と戦うスサノオの舞」(の真似)をしています。

出雲市街は今、日本の地方都市や世界の都市と同様に幹線道路沿いに同じ店が続き、没個性化しています。情報化によるグローバリゼーションは瞬く間に都市の様子を変えてしまいます。しかし山陰地方は、車で15分移動するだけで個性豊かな自然と生物の生態を観察でき、長い歴史の中で培われた個性的な伝統芸能が日常的に楽しまれている地域です。

学校医として担当校でスピーチの機会があるたびに、今後、世界中で活躍できる学力、体力を育むとともに、友人とお世話になった方、そして郷土をいつまでも大切に思ってほしいと伝えています。


「共通診察券を活用した健康情報活用基盤構築の実証実験」に参加して


■隣市で屋根瓦の色が違う

西日本にある島根県は、他府県の方からしばしばお隣の鳥取県とどちらが西か東かでよく間違われます。
島根県は西にあり、3つの地域(図1)に分けられます。隠岐の島、出雲地方、石見地方です。

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出雲地方と石見地方は方言と伝統も随分と違います。出雲地方の方言は東北地方と同じ訛りの「ズーズー弁」で、私もしっかりネイティブ出雲弁です。一方、石見地方は関西弁に近い感じです。
昔から屋根瓦の色の違いについて親から教えられてきました。石見が赤瓦で出雲が黒瓦です(写真1)。

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(写真1)
日本海に面した石見地方の民家、
屋根瓦は赤茶色






そして、石見地方は山間部と海岸が接近しているので海岸端に民家があることが多く、出雲地方は平野部があります。
古い民家は日本海からの西風から母屋をまもるため、築地松という大きな垣根が施されています(写真2)。
残念ながら新たに建築されることがなく、また松くい虫の被害を受けているため、その数はどんどん減少しています。

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(写真2)
築地松という西風を遮る防風林に
囲まれた出雲平野の民家








■地域をまたいだ医療IT連携に挑戦

私の住んでいる出雲市の隣に石見地方の大田市があります。
中核病院の大田市立病院では外科医不足のため、2年前に救急告示を取り下げるという事態になりました。これは大田市の住民の方にとっては大問題です。
大田市の急患の方は地域を越えて車で40分以上かけて出雲市の医療機関を受診しなければならなくなりました(多くの方の働きで、この4月から2年ぶりに救急告示再開となりました)。

この間、急性期に出雲市の島根大学付属病院や島根県立中央病院を受診された患者さんが引き続き大田市の医療機関で治療を継続したり、あるいは大田市立病院で加療中の方が急性増悪時に出雲市の医療機関した時のために、医療情報が両市で連携できる仕組みが求められました。
また同様に、出雲市の医療機関と大田市の調剤薬局の連携も模索されていました。
この時に、総務省から「共通診察券を活用した健康情報活用基盤構築の実証実験」の公募がありましたので、大田医師会と出雲医師会でコンソーシアムを組み参加しました。
これまで出雲医師会を中心とした医療連携の経験はありましたが、隣の市とはいえ地域をまたいだ医療連携はありませんでしたので、多くの打ち合わせを行い、一から医療IT連携を行いました。


その内容は下記となります。

1. 診療予約サービス・・・ 患者さんが自宅から直接診療予約を行う
2. 診療情報閲覧サービス・・・ 患者さんが検体検査結果と処方履歴を自宅で閲覧する
3. 健診情報閲覧サービス・・・ 健診ネット(医療ネットしまね)に参加している医療機関で受けた健診結果を閲覧する
4. 処方情報電子化サービス・・・ 医療機関の処方指示内容を電子化し、薬局のレセプトコンピューターと連携する
5. 調剤情報閲覧サービス・・・ 調剤薬局での処方実施内容を医療機関および患者自宅で閲覧する



昨年度、私は一医療機関として上記の総務省の実証事業に参加しました。
写真3は、医療機関から発行された処方箋内容が電子化情報となり、ネットを経て直接薬局のレセコンに初めて取り込まれた瞬間の「これは便利だ。すごいです」とおっしゃっている瞬間の調剤薬剤師の先生のお顔です。
決してやらせではありません。
この処方情報電子化は今回の事業の目玉の一つです。この瞬間、私はこの実証実験の成功を確信しました。
 
この経験は今後、島根県全県下での医療情報構築に生かされることを期待しています。

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(写真3)
処方箋の電子化情報をネットで
直接薬局のレセコンに取り込むことに
初めて成功した瞬間の薬局の先生