昨年から出雲市にある鼻高山の一本の杉で、花粉のつき方を観察しています。写真は2月23日の様子です。残雪の中に一本の杉があり、枝によっては先から3~4割程度まで花粉がついていますが、中にはほとんど花粉がついていない枝もあります。花粉はまだ固くて、指ではじいても割れません。

クリニックの外来でも、毎年、スギ花粉の飛散前に薬を飲みたいという患者さんは来院されますが、今年はまだ花粉症の症状で来院される方はいません。
昨年の観察結果では、23日のような状態から数日後には先から根元まで花粉がつきました。そして、雄しべがふわっと柔らかくなって、つぶすと周辺が黒板消しを叩いたようになり、場所によっては黄色い煙のように漂うところがありました。
あらゆるアレルギー疾患の中でも抗原そのものが遠目でも観察できる疾患はそうないと思います。昨年は、まさにその日から花粉症の患者さんがたくさん来院されました。
花粉量と患者数はなぜパラレルではないのか
この先に疑問を感じています。一斉に花粉が飛んだあと、まだ花粉が飛んでない枝や、成熟の遅れている木から後日、残りの花粉が飛びますが、その花粉量は日によってまちまちです。これは環境省の花粉観測システム(はなこさん:http://kafun.taiki.go.jp/)でも確認できます。
しかし、患者さんの数は日に日に増えていきます。日々の花粉の飛散量と日々の患者数はパラレルではありません。花粉飛散が少ない日でもシーズン半ばでは患者さんの数は多いのです。
こうした臨床での疑問点を疫学的に解明しようと思い、現在、奈良県立医科大学大学院健康政策医学講座に在籍して4年間を終えようとしています。すばらしい指導教官とスタッフのみなさん、研究仲間に迎えていただいて、あっという間の4年間でした。
現在、教室の皆さんと、日々の花粉飛散量と患者数がノンパラレルである点について議論を交し、共同で海外投稿予定の論文を書き進めています。ここで若干の問題点があります。
それは、スギ花粉症があまりに日本国内の問題であり、海外のジャーナルに投稿されていないため、引用できる英語論文が極端に少ないということです。しかしこの点もクリアして、来年の今頃にはpublishされたらいいなと思います。
これまでの論文作成の過程で多くのスキルが身につきました。
インターネット環境のおかげで、論文検索は自宅でできます。ごく普通のパソコンで少々複雑な統計処理も行えます。文献管理もEndnote等の専用ソフトを使えばジャーナルのダウンロード、ワード内での順番の差し替えはもちろんのこと、ジャーナルの投稿規定に合わせて、ほぼ瞬時に参考文献リストの表示形式の変更まで可能です。投稿もオンラインで行います。
このブログをご覧いただいている開業医の先生方が卒後論文をお書きになられた頃とはずいぶん様子が違うと思います。
その様子を後日お知らせしたいと思います。



