はじめまして。杉浦弘明と申します。

 父、妻とともに島根県出雲市に「すぎうら医院」を設立し今年で15年目です。循環器科、内科、小児科を担当しています。
 
 私は生まれ育った出雲市にある、島根医大 (現 島根大医学部)を卒業しました。卒後研修は大阪医大第3内科で循環器内科医として過ごし、大阪府三島救命センターで救急医療に携わりました。
 この時、非常に優秀な先生方の指導を受けたことが、日々の臨床の大きな支えとなっています。とりわけ故弘田雄三先生の御恩は生涯忘れえぬものです。
 
 私の担当する循環器内科では、高血圧、脂質異常症、冠動脈疾患の内服治療が主たるものです。一般開業医として非専門分野の患者さんの相談を受けることが多々あります。母校の島根大学医学部付属病院、島根県立中央病院、地域の開業医の先生に助けていただき、そして何より患者さんに学ばせていただきながら何とか日常の診療の職責を果たしています。
 このように臨床医として、また診療所経営者として、希望通りの医療を実践できることについて、地域の皆様、個性的でかつ素晴らしい従業員、そして私の家族に日々感謝しています。


 このたび、日本医事新報社からブログの連載を私に仰せつかったのは、微力ながら、研究と事業にかかわっている点をご評価いただいたからだと思います。



 一つ目は、国立感染症研究所感染症情報センター、大日康史先生との研究事業です。

 当院は感染症患者さんが比較的多く来院されることから、ご縁があり、大日先生の研究事業の実証実験の場として研究班に参加する機会を7年前にいただきました。

 圧倒的な仕事量を猛烈なスピードでこなされる大日先生のお仕事ぶりに多大な影響を受けました。
 同センターと出雲医師会の共同事業として2007年に「学校欠席者サーベイランス」を開発しました。開発当初は出雲の3つの小中学校で開発したシステムが、現在では全国の1万4000校の学校で毎日運用され、行政機関や学校医の元にリアルタイムの学校感染症情報を提供しています。
 その他には島根県立中央病院、島根大学医学部付属病院、8医療機関の電子カルテをつなぎ、出雲市における感染症患者の毎日の動態を把握する「外来症候群サーベイランス」の運用も行っております。



 二つ目は、大学院生としての研究生活です。

 大日先生との研究事業の参加を通して研究と論文作成に興味をもちました。また大阪府三島救命センター在職時に、当時の森田大所長 (現 大阪医大救急医療部教授)に論文を書くように叱咤激励されながら果たせなかったこともずっと気がかりでした。

 グローバルな視野と多くの方に慕われる今村知明教授がいらっしゃる奈良県立医大大学院の健康政策医学講座に入学を許され、現在4年生に在学し、感染症疫学研究を行っています。今村先生は大変おおらかな先生ですが、元厚生医官のご経歴通り、幅広い情報収集と適格な分析をなさいます。

 また講師の赤羽学先生は丹念で繊細かつ抜群の語学力でひたむきに研究をなさる方です。このような先生方に直接ご指導いただき、おかげさまで順調に研究生活を送っています。高校を卒業して大学入学と同時に勉学への意欲が失せてしまったのですが、今ではトップジャーナルに掲載されることを夢見て、毎晩2時、3時と夜更かしをしています。



 三つ目は出雲医師会会員として地域医療ITの調整役をさせていただいている点です。

 1999年、島根県立中央病院に国内初の電子カルテが導入されて以来、出雲地域では様々な医療ITの取り組みがなされています。

 私の参加は2002年に経産省が実施した地域医療ネットワーク事業からです。地元ベンダーさんとともに診療所電子カルテの基本設計と地域医療ネットワークの「医療ネットしまね」の構築に携わりました。その後、「医療ネットしまね」のコンテンツとしてのASP型特定健診システム、レセプトオンラインシステムを開発しました。

 2009年には出雲医師会として厚労省の社会保障カード実証事業に参加しました。これは地域医療ITから一歩抜け出て、国の実証実験に参加できる貴重な経験となりました。
 さらに昨秋は、総務省の公募事業地域雇用創造ICT絆プロジェクトに採択され、出雲における「医薬連携」「調剤薬局サーベイランス」の構築がちょうど終了したところです。このプロジェクトは今後4年間運用してまいります。
 現在は 同じく総務省の「健康情報活用基盤実証事業」に採択され、お隣の大田市とわが出雲市での、共通診察券を用いた処方箋の電子化を含めた地域医療連携を構築の最中です。


 これまでの実証実験では、技術論の確立だけで許された面もあります。しかし、今後は地域医療再生基金等での実運用も念頭に置いていますので、コスト論としても、限られた資金で継続的な事業が成り立つように厳しく運用をチッェクする必要も出てまいりました。

 また東日本大震災では薬歴、病歴等がもしわかれば、被災地での救護活動がより行いやすかったと考えられますので、非常時にも役立てる医療インフラも方向性の一つにしたいと思います。

 私は「地域医療 = 生活密着医療」と考え、日々の診療のほかに、こうした活動を通して地域の方の生活に貢献できる医療の進化を推進することをモットーとしています。



 このブログでは、その時々に診療、経営、事業、研究で経験したこと、感じたことをご披露したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。