出雲の開業医「生活密着医療がモットーです」

  • ブログの紹介
     地域医療 = 生活密着医療と考え、「地域の方々の生活に貢献できる医療の進化を推進する」がモットーの開業医が、診療、研究、IT事業に奮闘する日々を出雲の地から綴ります。
  • 著者プロフィール
    杉浦弘明(すぎうら ひろあき) 1965年生まれ。1991年島根医大卒。島根県出雲市に「すぎうら医院」を設立して15年目の開業医。日常診療の傍ら、研究・IT事業など多方面で活躍中、後世に残る英語論文にも挑戦している。

仕事が進むアナログな技「マインドマップ」

聡明な先生方のご講演を拝聴すると感動することがあります。多くの知識をお持ちの上に、その中から瞬時に適切な概念を頭の中のテーブルに並べて、その場にふさわしく整理し、順序よくお話しされ、そうした先生方は文章もとても分かりやすいです。
 

いかんせん、きわめて凡庸な脳を持つ私は、沢山のコンテンツを扱う場合、これらを頭の中だけでは再構築しきれず大変困っています。そんな時に私が実践している、現代の大量情報時代に対するアナログな技「マインドマップ」をご紹介します。


image1写真は私が最近論文を書いた時に作成したマインドマップです。皆様の中にはすでに何年も前から書いていらっしゃる方もいるかもしれません。私は約2年前から書いています。
 

中央に雲のような枠が描かれ、そこにメインテーマのスケッチが書かれています。その雲から色とりどりの枝が放射線状に延び、枝は根元が太く先細りで、上下に弧を描きうねっています。枝の上には、重ならないようにキーワードが単語で書かれています。そして、それぞれの枝は次の枝につながります。 
 

出来上がったものは、メインテーマから枝とキーワードが四方八方に伸びています。見方によっては大脳からシナプスが方々に延びているようです。

これが「マインドマップ」という手法です。

「マインド」という言葉から、何らかの宗教と関連する印象を持つ方もいますが、特定の宗教とは全く関係なく、頭の中にあるイメージを単語と絵で表現する手法のことをマインドマップと呼んでいます。


ヒアリングに用いると問題点がよく見える

頭の中から湧いてくる単語を一定のルールの下で紐付けして並べて書いてみると、頭の中にある全体のイメージが、モリモリ膨らんできます。例えば、「今日の空は澄み切って青い」というフレーズを考えるとき、コンピューターでコピーペーストすると、一秒もかからず「今日の空は澄み切って青い」という単語を書き写すことができますが、これでは何のイメージも喚起されません。最近自分自身の想像力低下を実感するのですが、コピペを利用したワープロによる文章作成がその原因ではないかと感じることがあります。

それでは、マインドマップを使って考えてみます。今日__空__澄む__青いと単語で区切り、一つずつの単語について、いろいろイメージします。「今日」に対して「昨日は?」「昨年の今日は?」、「明日」や「空」に対して「海」「宇宙に続く」「空っぽ」… など、どんどんイメージを書き込むと、言葉が沢山湧いて出てきます。書き進めていくうちに、図中に同じキーワードがたくさん出でくる場合は、そのキーワードは無意識のうちに重要であることが強調されています。逆に、枝や単語が相対的に少ない部分は検討が不十分な場合が多いので、情報を得て埋めると全体のバランスが良くなります。

そうして出来上がったマインドマップをみると、「今日の空は澄み切って青い」を最初とは違うイメージで感じることができます。

このような方法で書いたマインドマップは、論文の全体構成、タイトル、イントロダクション、ディスカッションのアイデアを膨らませる時にとても有用です。その他にも、新しい事業に挑戦する時の配置図の作成、議事録、講演会、勉強会の時のメモ、To Do List、患者さんやご家族、ケアマネさんや学校医、産業医の顧問先等でのヒアリングの時に用います。特にヒアリング時にマインドマップを用いると、問題点や追加質問すべきところがよく見えてきます。

マインドマップで書いたメモは、板書のような手書きの文章やワープロの文章と比べて、後日見直した時に思い出しやすいのも特徴です。単語や枝が視覚的に脳に受け入れられやすいからだと思います。

PCで動くマインドマップ用のソフトウェアもあります。概念や、サブテーマが多いときに一枚のマインドマップ図だけでプレゼンテーションをしたことがありますが、「珍しいプレゼンだけど、分かりやすい」とご評価いただきました。ただし、公的な場では、プレゼンはマインドマップ一枚で行っても、配布資料は通常の書類を持ち帰り用としてお渡しした方が良いと思います。


真夜中のドーム野球はオススメです

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2年前から草野球チームを結成しています。
チーム名は「All nighters」です。今の健康ブームに乗り、夜飲酒する代わりにスポーツをするようになったことがチー名の由来です。
ホームグランドは出雲市にある出雲ドームです。一般開放の2時間枠を利用して年数回、試合をしています。

このことを普段は河川敷で野球をされている東京在住の某先生にお話ししたところ、ドーム球場での野球に興味を持たれました。インターネットで調べてみると深夜帯を一般人に開放しているドーム球場がいくつかあることを知りました。そこで先日、出雲と東京の中間地点にある大阪京セラドームに、東は東京、西は出雲から選手が集まり野球対決をしました。


試合終了は深夜2時

当日は仕事を終えて19時にバスに乗り込みました。家を出る時に野球好きの小学生の長男が「僕も行きたい」と泣き出しましたが、さすがに深夜の野球に小学生は連れて行けません。申し訳ない気持ちで出発し、23時過ぎに球場に到着しました。

胸の高鳴りを感じながら通用口からグラウンド入口に一歩足を踏み入れると、眼前に現れた光景に感動しました。360度からの観客の視線がグラウンドに集中する構造になっています(その日の観客はゼロですが…)。

試合は8対10で負けましたが、深夜2時まで野球を楽しみました。試合終了後、再びバスに揺られ、出雲に到着したのは朝6時30分。強行スケジュールのようにも見えますが、もうじき50歳の私でも何事もなかったように当日の仕事が可能でした。野球の楽しみ方の一つとして「真夜中のドーム野球」は皆さんにもオススメです。

写真は、わがチームの三塁手、イケメン眼科医師と野球のユニフォームを着た熊の「プーさん」こと私です。実は前回のブログで、私が同級生のイケメン脳外科医師の隣にちょこんと写ったところ、これが「プーさん」に似ていて、なかなかよろしいとご評価いただきました。したがって、今回もプーさん登場です。






ITを活用した島根県の医療機関連携を構築しています


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■母校で活躍する同級生

先週、母校・島根大学の脳神経外科教授、秋山恭彦先生(写真左)の講演会がありました。秋山先生は私の同級生です。講演後、卒後も地元の医療機関に勤める同級生たちでミニ同窓会を催しました。秋山先生は学生時代からコツコツと積み重ねて勉強される方で、今振り返っても学生時代から教授になられる素質のある方だったと思います。
羨ましいのはそのご容姿で、相変わらずイケメンです。私と写真を撮った後も、ツーショットをねだる方がいました。考えてみれば、私はツーショットを頼まれたことがありません。

秋山先生には母校を足掛かりに、大きくご活躍いただきたいと思います。



■島根の地域医療再生計画

東西約200kmに及ぶ島根県は7つの二次医療圏から成っています。病院を多く抱える松江圏や島根大学附属病院・島根県立中央病院がある出雲圏を除くと、県西部や離島・中山間地域で医師不足が深刻化しています。特に産科・外科・小児科などの特定の診療科において、医療提供体制の維持・存続が脅かされる状況になってきています。

皆さんの都道府県でも、国から交付される地域医療再生基金による「地域医療再生計画」が策定されつつあると思います。島根県は事業費87.5億円で整備されます。
その内訳は下記の5事業です。

1.医師をはじめとした医療従事者の確保や県内定着の促進
2.ドクターヘリの導入
3.ITを活用した医療機関連携
4.施設・設備整備による医療機関の医療機能の確保
5.がんの予防及び早期発見の推進を図るため、総合的ながん対策



■ドクターヘリで活躍する同級生に触発されて

島根県ではすでにドクターヘリは運用されており、私の診療所の近くにある島根県立中央病院の屋上に待機し、日に幾度も出動しています。私の同級生の救急医もドクターヘリで活躍しています。

同級生に触発され、私も島根県が抱える医師不足問題の解消に向けて積極的に役立ちたいと思い、県の地域医療支援会議の医療IT専門部会委員として、下記のITを活用した医療機関連携の仕事に参加させていただいています。



■地域医療再生基金によるITを活用した全県医療機関連携

この事業では、島根県が整備運営費を負担し、島根県内の全医療機関と調剤薬局がVPN・オンデマンドVPNを利用してネットワーク化されます(調剤薬局については予定)。そして、このネットワークと共通患者IDをNPO法人しまね医療情報ネットワーク協会(http://www.shimane-inet.jp/about/index.html)が自立的に運営管理します。


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写真の手のひらは、島根県の行政のイメージです。女性の手のように優しいサポートによって、NPO法人が全県の医療機関をVPNネットワークで結ぶイメージです。

実際の医療ウェブアプリケーションは、全県で利用するものはNPO法人が導入管理し、医療圏域ごとに必要な地域アプリケーションは地域ごとに策定します。

ITを活用した医療機関連携で現在計画中の取り組みは、以下の5つです。
1.全県下の医療機関相互による紹介状・予約・検査予約・地位医療連携パス
2.患者情報の共有
3.画像連携(読影依頼・レポート参照)
4.調剤薬局における医療情報閲覧(電子お薬手帳の薬局間での利用)
5.処方情報の電子化

紹介状については電子認証も想定しており、検査予約、診療予約システムも含めて診療所での事務負担の軽減を目的としています。

高額医療機器の共同利用を促進したり、その結果として画像連携をすることにより、医療機器のリソース不足を解消します。読影サービスは放射線診断医不足に対応するとともに、各地域の医療機関での画像診断の精度向上につながります。

医療機関同士の患者情報の共有化は、医療の質と安全性を高めます。そして、がん地域連携パス等の医療機関連携は専門医と診療所医師との間の有効な情報伝達手段となります。

医療機関から発行される処方箋内容の電子化と、調剤薬局のシステムとの連携も検討しています。これは調剤薬局での業務負担軽減を図ります。そして、調剤薬局同士で調剤情報を相互閲覧することにより、重複調剤や併用禁忌例を監視し、より効率的な処方監査に役立つと思われます。



■大都会の医療環境に近づきたい

今後は、上記の医療機関連携によるEHR(Electronic Health Record)的要素に加えて、各個人のPHR(Personal Health Record)要素である慢性疾患のデータ管理、保健指導への活用、さらに健診や学校検診で得られた子供の成長記録や、予防接種などの情報の共有についても検討していきます。

将来の抱負として、介護福祉分野との連携や、行政と連携して提出書類のペーパレス化を行うほか、究極的には1カルテを実現し、生涯の医療情報がすべて閲覧できるようになればと思っています。

東西に長く、過疎化・高齢化が医師不足に追い打ちをかける島根県の医療環境ですが、このネットワークによって情報伝達をスムーズにし、少ないリソースを有効活用することによって大都会の住民が現在享受している医療環境に近づきたいと思っています。