出雲の開業医「生活密着医療がモットーです」

  • ブログの紹介
     地域医療 = 生活密着医療と考え、「地域の方々の生活に貢献できる医療の進化を推進する」がモットーの開業医が、診療、研究、IT事業に奮闘する日々を出雲の地から綴ります。
  • 著者プロフィール
    杉浦弘明(すぎうら ひろあき) 1965年生まれ。1991年島根医大卒。島根県出雲市に「すぎうら医院」を設立して15年目の開業医。日常診療の傍ら、研究・IT事業など多方面で活躍中、後世に残る英語論文にも挑戦している。

キャベツの現実

 小2の子どものゴールデンウィークの宿題は「キャベツの葉っぱについているモンシロチョウの卵を採ってきましょう」。この宿題が解決できなければ地方の良さが発揮できません。そこで、広大な農家さんのキャベツ畑に家族で行きました。ひらひらと舞ってきたモンシロチョウが次男の目の前でキャベツの葉っぱに止まったかと思うと、ふんわりとした卵を産み付けてくれたのです。

1
写真:モシンロチョウの卵

 そこまで良かったのですが、よく見るとその広大なキャベツ畑には幼虫がいないのです。幼虫がいるのは300メートルほど離れた一般の方の畑にある、無農薬の虫食いだらけのキャベツの方なのです。

2
写真:無農薬キャベツと幼虫
 
 農薬が葉に浸透すると、キャベツを食べても幼虫が育たないのです。僕は自然食へのこだわりはこれまで全くなかったのですが、現実を知りました

 その後、気を取り直して、キャベツ畑の近くの農家さんに借りている畑で、ジャガイモの植え付けと玉ねぎの収穫をしました。ここではマルチシートートを使って雑草が育たないようにしています。

3
写真:じゃが芋の植え付け

4
写真:玉ねぎの収穫(次男と甥)

5
写真:庭先にて。収穫したての玉ねぎは炭火カレー鍋に直行



■オーケストラの練習も



6
写真:年に1回のオーケストラのホール練習。演奏者席から客席を望む

 今年は7月にブラームスのバイオリンコンチェルトと、シューベルト作曲 交響曲第8番「未完成」を演奏します。会場は小キャパのホールですが3階まであり、ステージ後方にも客席があるので、プレーヤーは取り囲まれている感じがして緊張感があります

面識のない在宅診療のチーム仲間

 私が在宅診療をするのは、長年外来に来られた方が看取りを希望されたとき、即座に「はい」と答えたいから。内科系の開業医の先生でしたら、どなたも同じ思いでしょう。それは、在宅診療を推進する国の政策誘導に乗るべき、という気持ちよりも強いものです。でも、在宅診療は一人の医師だけではできません。


■スサノオノミコトとの意外な関わり



無題
 
 私の二人の息子は、この春でそれぞれ中2と小3に進級します。
 この絵は次男が書いた「ヤマタノオロチを退治するスサノオノミコト」です。出雲地方、さすが神話の国。学校の図画で因幡の白兎かスサノオノミコトが絵の題材選ばれます。スサノオノミコトは出雲神話のヒーローとしてご存知だと思います。


2
(須佐神社HPより)
 
 出雲市にスサノオノミコトを祭るパワースポットとして有名な須佐神社があります。神職であり医師の須佐先生は、24時間365日体制の在宅診療を進める仲間です。須佐先生のお許しを得て素戔嗚尊(すさのおのみこと)の「尊」の一字を頂戴して『チーム尊』として6カ所の診療所でチーム医療を行っています。チームポリシーは「いのち」「患者さん」「チーム医療の仲間」を尊ぶです。日中はそれぞれの診療所で対応し、夜間休日を『チーム尊』で機能強化型在宅療養支援診療所として、診療所医師で輪番体制をとることによって24時間365日在宅診療体制を整えています。


■医師から好評を得た「緊急電話コール代行受付システム」


 『チーム尊』では休日・夜間電話対応を看護師対応のコールセンターにお願いしています。導入理由は、6カ所の医療機関の受電をNTTの既存の「ボイスワープシステム」ではこなせなかったからです。
 緊急電話コール代行受付システムの共同利用を下図に示します。
 
 3
 (株)富士通エフサス社より資料提供
 
 6カ所の診療所を利用する、それぞれの患者さんからの時間外の電話は、コールセンター(同社はコンタクトセンターと表記)の看護師が受電します。また訪問看護師の電話も同様にセンターの看護師が受電します。患者さんのかけた電話は必ずつながり、医師に連絡がとれます。
 
 コールセンターの看護師は、相談内容をすべて聞き取り、一度電話を切り医療相談の場合はすぐ担当医に連絡します。不要な問い合わせは翌朝報告します。
 このサービスの費用は月々のコール数で変化しますが、月々のコール数が約30件の場合、一晩当たり3000円~4500円程度となります。

 この仕組みを1年間運用したところ、『チーム尊』の医師仲間から好評を得ましたので紹介します。
 
「コールセンターの看護師が集約した症状等の情報と、相互に公開している電子カルテの内容を見て、患者さんのことを理解してから電話対応ができる
「翌日の事務対応で可能なことは翌日報告される。緊急性がないことでは電話で呼び出されない
「コールセンターで必ず受電できるので着信漏れがない(今までは、安心して風呂にも入れない、運転もできない)」
「コールセンターの看護師に話を聞いてもらうことで、安心して医師に診察を求めない場合もある」
「看護師の休日、深夜の電話当番が不要になった」

 運用を一本化するために施設の看護師もコールセンターを利用していることに関しては、施設の看護師の中に、コールセンターを利用せず直接医師に電話したいという希望があります。
 
 コールセンターの看護師の対応はとても親切で、患者さん本人やご家族の評判が良いです。このため面識はないものの、『チーム尊』の大切なチーム仲間です。

まめネットによる院外調剤薬局と医療機関の情報伝達

 
無題


 私たち医師は処方した薬が患者さんに正しく服用されたうえで、最小限の副作用で最大限の効果が得られることを願っています。患者さんが副作用だけを理解してしまって内服しようとしない場合は大変困ります。
 
 このために医師が患者さんに伝えた治療内容・方針を、調剤薬局の薬剤師さんが専門性に則って医師と同じ方向性でアドバイスしていただくと患者さんの病気の理解がより深まります。そのためには、診療情報が調剤薬局で利用されるとことが有効です。

 島根県の全域の医療情報ネットワーク「まめネット」には、調剤薬局さんが利用していただけるアプリケーションを用意しています。機能は以下の4つです。
①  医療機関のカルテ閲覧システム
②  在宅医療・介護に関わる施設間での情報を連携するシステム
③  後発薬品に変更した場合にその情報を医療機関に自動的に連絡するシステム
④  他の薬局における同一患者の調剤情報の閲覧と、異なる薬局で処方された薬の相互作用をチェックするシステム

 これらの機能を調剤薬局と医療機関で有意義に利用するための勉強会「まめネットを用いた医薬連携推進プロジェクト」を3月7日に開催いたしました。出雲市内の30名の薬剤師さんが参加されました (写真) 。


■薬剤師「治療チームの一員として参加できるのはありがたい」


 カルテ閲覧システムを用いて調剤を行った薬局さんの感想です
 「今まで薬剤師は、副作用情報・注意事項の説明のみで(患者対応が)手探りの状態だったのが、情報提供を受けることにより医師の処方意図を汲み取ることができ、治療チームの一員として参加できるのはありがたいことだと思います」
 「医師の治療指針があり、服薬指導の重要なポイントが明らかなので心強いです」


 在宅医療・介護に関わる施設間での情報連携システムを用いて訪問調剤をしている薬剤師さんの使用感想です。
 「まめネットの利用目的は、1.薬剤の服用状況・残薬の有無・副作用発現等報告、2.他職種への処方内容連絡、3.緊急を要しない質問、4.他職種からの患者情報の確認、5.打ち合わせ事項です」


 在宅医療における「まめネット」使用の感想は、
 「1.iPad使用により在宅現場で情報確認や記録が可能、2.やり取りを行った情報が残るため再確認が容易、3.訪問薬剤師は他の職種と比べても訪問回数が少ないが、他職種の連絡により情報をカバーできる、4.質問や報告が難しい内容であっても比較的簡単に投稿できる、 5.写真や動画を添付する事により状況がより正確に把握できる」

 というもので、会議にご参加いただいた多くの薬剤師さんから好評を得ました。