出雲の開業医「生活密着医療がモットーです」

  • ブログの紹介
     地域医療 = 生活密着医療と考え、「地域の方々の生活に貢献できる医療の進化を推進する」がモットーの開業医が、診療、研究、IT事業に奮闘する日々を出雲の地から綴ります。
  • 著者プロフィール
    杉浦弘明(すぎうら ひろあき) 1965年生まれ。1991年島根医大卒。島根県出雲市に「すぎうら医院」を設立して15年目の開業医。日常診療の傍ら、研究・IT事業など多方面で活躍中、後世に残る英語論文にも挑戦している。

島根県におけるインフルエンザの流行状況と当院の検査精度向上対策

 今シーズンのインフルエンザの流行は例年と比べて以下の特徴が際立ちます。
1. 12月初めから本格的に流行した。
2. A型B型ともに当初より流行した。
 
 例年ですと、1月になってA型の流行が開始し、6週間程度流行した後にB型が遅れて流行し、やがて終息するのですが、今シーズンはこのパターンと大きく異なります。


■島根県の感染症リアルタイムサーベイランス

 
 国の法律に基づく感染症発生動向調査の島根県の正式報告(http://www1.pref.shimane.lg.jp/contents/kansen/rep/new/weekly.html)によると、本ブログ作成時点(2月10日)は、患者数の増加は衰えているものの、ピーク後の折り返しは認められません。しかし、実臨床では患者さんの数は少し減ってきたような印象です。
 
 島根県では、県内全域の医療ネットサービスの一環として「リアルタイム感染症サーベイランス」を実施しています。
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 これによると、数日前にピークを迎え、A型、B型、臨床診断、総数とも減少しています。
 
 連休明けは混むかもしれませんが、ピークオフが分かれば、インフルエンザの患者さんを担当する外来の医療機関の緊張が緩和してくるでしょう。また、患者さんの増加と同じペースで日々の患者さんの数は減少していきますので、3月第2週ごろには終息するのが読めてきます。リアルタイム感染症サーベイランスを見て、多忙さから解放されるめどが立ち安堵しました。学校医としては、卒業式のころの学校スケジュールにインフルエンザの影響は少ないことが予想でき、安心しています。

 リアルタイム感染症サーベイランスは、感染症発生動向調査が各医療機関の報告から正式発表まで1週間かかるギャップを埋めるためのシステムです。これは島根県の各医療機関が毎日データを「まめねっと」(しまね医療情報ネットワーク)上に登録することで、自動的に速報値が集計されています。

 登録方法は2つあります。
1. リアルタイム入力
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 ネットワーク上で患者別に、感染症診断、年齢、性別をクリックします。

2. 疾患名・年齢・性別の一覧データをシステムにアップする方法
この方法は主に大病院で行われている電子カルテのデータを自動生成し、システムにアップする方法です。
 
 これらのシステムにより、日々の患者数を県内全域の医療機関に報告できるのです。麻疹・風疹患者が発生した時も警告として表示されます。


■当院のインフルエンザ迅速検査精度向上対策

 
 インフルエンザの迅速診断は、綿棒等(写真1、右)で採取した鼻汁中のインフルエンザ抗原の定性反応を用いて行います。

 採取した鼻汁はプラスチックスピッツ(写真1、中)内で反応液と混ぜます。次にプラスチックの試験スティック(写真1、左)に、鼻汁と反応液の混合液を3滴滴下します。試験スティックにあらかじめ塗布インフルエンザ抗体と反応が認められた場合、早い場合は反応後直ちに、遅くとも15分でカラーラインとして表現され、A型、B型と診断されます。診察室では医師、看護師、臨床検査技師がタイマーを片手に、患者さんが多い時は5人分をまとめてチェックしています。
 
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写真1 
  
 タイマーで管理し目視で判定するのは、患者さんが多い中で手間暇がかかります。そのうえ、目視では本当に陽性として発色しているのか、あるいは抗体がキットに埋め込まれている溝が見えているのか判然としないことがあります。
 
 そこで当院では、自動判定装置(写真2)を今シーズンから導入しました。試験スティックに混合液を滴下するまでは同一手順ですが、後は、試験スティックを機械に入れると定時読み込みし、陽性の場合すぐにプリントアウトされます。名前と結果と時刻が履歴管理されますので、「リアルタイム感染症サーベイランス」の入力の際とても便利です。



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写真2

2017年の投資

 1995年に当院設立後、今年で23年が経過しました。毎年、新たな設備投資、人材登用をしています。


■今年の人材教育の目玉


 当院の管理栄養士2名が揃って在宅訪問管理栄養士の資格を取得しました。
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写真:農家さんに借りている畑でポーズ(再掲)
 
 従来の外来指導に加えて、在宅管理の患者さんの栄養状態を見守ってくれています。在宅患者さんのほとんどは低栄養です。嚥下能力に応じて、必要なカロリーと筋肉量を保てるたんぱく質を美味しく食べられるように、患者さんごとに真摯に関わっています

 以前の僕は薬第一主義でしたが、彼女らの働きを見ていますと、食事と生活の前提の上に医療があることを実感しました。
 
 彼女らの働きぶりはだんだんと周囲に認知され、訪問看護師さん、ケアマネさん、開業医の先生が、在宅の患者さんの栄養摂取で困った時に相談してくださるようになりました。当院以外の在宅患者さんの栄養指導をさせていただくようになり、「地域の栄養ステーション」の役割も少しずつですが始まりました
 

■今年の設備投資の目玉 その1
 

 在宅訪問管理栄養の場で筋肉量の測定が必要になりましたので、体脂肪と筋肉利用を上肢、下肢左右別に測定する機器も購入しました(Inbody470)。
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Inbody 470

 糖尿病の外来栄養指導の説明で使用するときに、脂肪量を減らすより筋肉量を増やすように説明するほうが、ずっと患者さんのモチベーションが上がります
 
 この機械を用いて地元の某高校野球部の選手について、冬季トレーニング対策として筋肉量を経時的にフォローしています。トレーニングの効果があり、1カ月半の間に23名中22名で体重増加がありました。体重が増加した22名中16名に筋肉量の増加が認められましたが、6名の選手は脂肪量が増えて筋肉量は増えていませんでした。体重が減少した1名は、筋肉量は増加していました。指導の先生にお伺いすると、筋肉量を測定することで選手が筋肉量を意識してトレーニングに集中するようです。トレーニングの目標としている筋肉がモニターできるのは大変ありがたいことです。筋肉が増えず脂肪量が増えている6名の選手はトレーニングメニューの変更が必要です。
 
 僕の長男は中学の野球部員です。僕は保護者会長をお引き受けしていますので、一回野球部員たちの筋肉量を測定しました。野球部員は冬季トレーニングでひたすら走り込むので下肢筋力は十分でした。上肢の筋肉量が少ない選手が多かったので指導の先生にお伝えしたところ、上肢筋力アップのトレーニングメニューを増やしてくださいました。モニターする内容を詳細化すると、対策が立てやすいですね。
 
 
■今年の設備投資の目玉 その2


 看護師さんの採血室をブース型に変更しました。ブース型の採血台を3台設置し、ゆっくりと対面しながら採決しています。電子カルテ端末を設置していますので、オーダー内容と名前を再確認できます。また、診察前にバイタルチェック、看護問診もしていますので、待ち時間対策と、医師への事前状態連絡に非常に有用です。     
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マルガレッタ先生とのお茶会

 スウェーデンLUND大学家庭医療教授のマルガレッタ先生(写真1)が地元の母校島根大学医学部に講義に見えました。
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(写真1)

 僕と当院の中山医師(在宅診療部部長)が日本文化のおもてなしを計画し、出雲にある茶道の三斎流家元にて歓迎お茶会を開催いたしました。マルガレッタ先生も僕と中山医師も着物を着ました(写真2)。

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(写真2)

 茶室の中は不必要なものがなく、パチパチ音を立て静かに燃える炭火で暖められた茶釜のお湯で点てた薄茶を静かにいただきましたすべての立ち振る舞いは作法通りの揺ぎないものでありながら、むしろきわめて自然に、そして悠然に感じる所作に驚きました。接待役を忘れしばし楽しみました。勿論マルガレッタ先生にも楽しんでいただけたと思います。

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(写真3)

 お茶会の後は 出雲市内の文化文伝承館を着物姿で散策いただきました。
 お土産は当日、新品でお使いいただいた足袋と草履をお持ち帰りいただきました。